二次創作ブログですゆえ苦手な方は御控くださいませ。
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西の名探偵の大阪弁が胡散臭いのは仕様です
『ちゅーわけや、お前とお前んとこのねーちゃんも誘って温泉行こか』
「バーロ、お前と彼女、二人で行ってくれば良いじゃねえか。
あのコソドロから予告状が届いてんの知ってるだろ?そんな大事な時になんでのんびり温泉に――」
『俺は知ってるで。
今回もあのイギリス帰りの気障なにーちゃんが来てるんやろ?
なら心配いらへんて、そいつに全部任せて、たまにはお前もゆっくりしや。
温泉に三泊もできるんやで、感謝しぃ』
「……」
『連絡まっとるからなー』
西の名探偵はそういうと一方的に電話を切った。俺は相変わらず体力の戻らないからだのまま、ベッドの上で無機質な音を立てている携帯電話をじっと見つめる。ツー、ツー、とひとしきり音を立てた後、携帯電話はぱっと元の待ち受け画面に戻った。今、例の『コソドロ』が送り付けた予告状を待ち受けにしてある。気障な言葉と簡単な暗号が書かれている予告状、今の電話で全く無意味なものになってしまった。俺はボタンを操作して、待ち受けをプリインストールの壁紙に切り替えた。それから、幼馴染にメールを打つ。
『和葉ちゃんが温泉のペアチケット二枚も当てたから一緒に旅行しようだと』
『ほんとに?新一も行くの?キッドから予告状来てなかった?』
『白馬が来るから問題ないだろ、ってさ』
『わー嬉しい、大学生になってから全然旅行なんてしたことないから楽しみ!
和葉ちゃんにオッケーの返事出していい?』
『いいんじゃねーの?』
素早いメールの返信に、俺はついていけなくて苦労した。普通二年もリハビリしていればこのぐらいの動作は簡単に行えるはずなのだが、解毒剤の副作用は相変わらず継続しており、指が上手く動かない。灰原の診断ではあと半年程度すれば、正常に体が機能するのではないか、とのことだった。そういうあいつ自身、思い通りに体が動かず、いらいらすることが多々あるのだそうだ。
俺はハンドグリップを握りながら、再度服部に電話をかける。短縮登録というのは非常に便利だ。たった三つボタンを押すだけで、長ったらしい電話番号を入力することなく、相手に連絡が取れる。文明の利器である。かのシャーロック・ホームズの時代にはこんなものなど無かったのだから、緊急時には本当に不便だったのだろう。どうでもいいことを頭の中でつらつらと考えながら、冷たい呼び出し音を聞く。規則的に音は五回繰り返されて、六回目の途中で服部は電話に出た。
「もしもし?」
『なんや、もう許可取れたんかいな。
今ねーちゃんに断られたらどないしよと思て、言い訳考えとったとこやのに』
「言い訳ってなんだよ」
『あ、あーまあ、せやな、こっちにもいろいろ事情があるちゅーことや。
ほな決まりやな。一週間後、東京駅で待ち合わせや。
お前とは積もる話もぎょーさんあるし、覚悟しとき』
服部の言動が先ほどからはっきりしない。いったいどういうことだろう、と俺は考えを巡らせる。まずどうして和葉ちゃんと服部だけで行かないのだろうか。もしくは和葉ちゃんの家族だけで行かないのだろうか。やはり、一番の原因としては、彼女が服部を強く想っているからだろうということだ。当の本人は全く気付いていないのか、相変わらず二人の仲は進展していないようだが。
だんだん眠気が襲ってきたので、俺は探偵にあるまじき行動だが、単刀直入に尋ねることにした。
「……お前、なんかかくしてねーか?」
『何もあらへん、俺はいつだって素直な男やで。ほなおやすみ、工藤』
「ああ、おやすみ――あーちょっと待て」
『なん?』
「東京駅集合じゃ俺が無理だ。三泊分の荷物を持ち歩ける自信がねー。
まさか蘭に持たせるってのもかっこわりぃからな」
『せやなー。じゃあ俺がお前の最寄駅まで迎えにいったるわ。
お前のねーちゃんと和葉には、先に駅で待っててもらうちゅーことでええやろか』
「わりぃ」
『気にせんでえーて、一番大変なのはお前なんやからな。
じゃ、今度こそおやすみや』
「…おう」
今度は俺から電話を切った。服部も今頃、少し前の俺よろしく、無機質なあの音を聞いているのだろうか。俺は幼馴染にまたメールを打ちながら、急にあふれてきた溜息を吐いた。
「バーロ、お前と彼女、二人で行ってくれば良いじゃねえか。
あのコソドロから予告状が届いてんの知ってるだろ?そんな大事な時になんでのんびり温泉に――」
『俺は知ってるで。
今回もあのイギリス帰りの気障なにーちゃんが来てるんやろ?
なら心配いらへんて、そいつに全部任せて、たまにはお前もゆっくりしや。
温泉に三泊もできるんやで、感謝しぃ』
「……」
『連絡まっとるからなー』
西の名探偵はそういうと一方的に電話を切った。俺は相変わらず体力の戻らないからだのまま、ベッドの上で無機質な音を立てている携帯電話をじっと見つめる。ツー、ツー、とひとしきり音を立てた後、携帯電話はぱっと元の待ち受け画面に戻った。今、例の『コソドロ』が送り付けた予告状を待ち受けにしてある。気障な言葉と簡単な暗号が書かれている予告状、今の電話で全く無意味なものになってしまった。俺はボタンを操作して、待ち受けをプリインストールの壁紙に切り替えた。それから、幼馴染にメールを打つ。
『和葉ちゃんが温泉のペアチケット二枚も当てたから一緒に旅行しようだと』
『ほんとに?新一も行くの?キッドから予告状来てなかった?』
『白馬が来るから問題ないだろ、ってさ』
『わー嬉しい、大学生になってから全然旅行なんてしたことないから楽しみ!
和葉ちゃんにオッケーの返事出していい?』
『いいんじゃねーの?』
素早いメールの返信に、俺はついていけなくて苦労した。普通二年もリハビリしていればこのぐらいの動作は簡単に行えるはずなのだが、解毒剤の副作用は相変わらず継続しており、指が上手く動かない。灰原の診断ではあと半年程度すれば、正常に体が機能するのではないか、とのことだった。そういうあいつ自身、思い通りに体が動かず、いらいらすることが多々あるのだそうだ。
俺はハンドグリップを握りながら、再度服部に電話をかける。短縮登録というのは非常に便利だ。たった三つボタンを押すだけで、長ったらしい電話番号を入力することなく、相手に連絡が取れる。文明の利器である。かのシャーロック・ホームズの時代にはこんなものなど無かったのだから、緊急時には本当に不便だったのだろう。どうでもいいことを頭の中でつらつらと考えながら、冷たい呼び出し音を聞く。規則的に音は五回繰り返されて、六回目の途中で服部は電話に出た。
「もしもし?」
『なんや、もう許可取れたんかいな。
今ねーちゃんに断られたらどないしよと思て、言い訳考えとったとこやのに』
「言い訳ってなんだよ」
『あ、あーまあ、せやな、こっちにもいろいろ事情があるちゅーことや。
ほな決まりやな。一週間後、東京駅で待ち合わせや。
お前とは積もる話もぎょーさんあるし、覚悟しとき』
服部の言動が先ほどからはっきりしない。いったいどういうことだろう、と俺は考えを巡らせる。まずどうして和葉ちゃんと服部だけで行かないのだろうか。もしくは和葉ちゃんの家族だけで行かないのだろうか。やはり、一番の原因としては、彼女が服部を強く想っているからだろうということだ。当の本人は全く気付いていないのか、相変わらず二人の仲は進展していないようだが。
だんだん眠気が襲ってきたので、俺は探偵にあるまじき行動だが、単刀直入に尋ねることにした。
「……お前、なんかかくしてねーか?」
『何もあらへん、俺はいつだって素直な男やで。ほなおやすみ、工藤』
「ああ、おやすみ――あーちょっと待て」
『なん?』
「東京駅集合じゃ俺が無理だ。三泊分の荷物を持ち歩ける自信がねー。
まさか蘭に持たせるってのもかっこわりぃからな」
『せやなー。じゃあ俺がお前の最寄駅まで迎えにいったるわ。
お前のねーちゃんと和葉には、先に駅で待っててもらうちゅーことでええやろか』
「わりぃ」
『気にせんでえーて、一番大変なのはお前なんやからな。
じゃ、今度こそおやすみや』
「…おう」
今度は俺から電話を切った。服部も今頃、少し前の俺よろしく、無機質なあの音を聞いているのだろうか。俺は幼馴染にまたメールを打ちながら、急にあふれてきた溜息を吐いた。
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