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「元親、お前もし、幼少時代に戻れるとしたら何がしてえんだ」
「…また、なーにを言い出すんだか、お前は」
満月の元、伊達邸の縁側に二人で腰をかけているときだった。
何杯目だか知らぬ酒を呑み干した政宗が、少々呂律のまわらない様子でそう尋ねた。
この若い竜は少し酒に弱い。呑めば呑むほど陽気になり、下らないことをぽんと思いついてはすぐ口にする。
元親も残った酒をあおり、再び杯を満たしてからしばらく考えた。
「そうだな…さあ、よくわからねえが」
「俺はだな、もっと早いうちにお前と出会っておいて、もっとLoveを育んでおきたかった」
「ああそうかい」
「And、奥州と四国で同盟を結んで、魔王討伐軍団を結成しようと思っていた」
「ふーん」
べらべらと楽しそうに語る一国の主を見て、元親は少々この奥州の行く末を心配した。
やたら饒舌な政宗は、その後もしばらく喋り続けていたが、やがてぱたりと喋るのを止めて、ひたすらに酒を口にしていた元親のことをじっと見つめた。
薄い茶色の瞳にじっと捉えられ、元親は一瞬動きを止めた。
しかし再びせっせと杯を動かしながら、「なんだ」と言った。
「Oh、Sorry、俺の夢ばっかり語っちまって。その、なんだ、俺はだな、お前の話を聞こうと思ったんだ」
「あー…」
声が少しばかり大きくなり、顔もほんのり赤くなりはじめ、それでもなお酒を足そうとした政宗をやんわりと制止しながら、元親は暫し悩んだ。
「俺の夢か」
「Yes」
「さあ…ああ、そうだな」
政宗が酒瓶を取り返そうとするのをかわしながら、元親は笑って言った。
「俺もお前ともっと早く出会えたらよかったと思う」
「ほーそりゃまた…Eh?」
「愛を育むとか、そういうんじゃあねえけどよ、でも何だか、もっとお前と早くに出会いたかった」
「――元親、」
思わぬ返答だったのだろうか。
目を見開いて此方を見た政宗の頭を、元親は撫でた。
奥州の竜と恐れられる男は、小さな子供のように目を閉じて、しばらくされるがままにしていた。
やがて、ゆっくりと元親の腕を自分の頭から外すと、そのまましっかりと胸に抱いた。
温かい、ひとの感触。
「こうしていられる時間が、もっと欲しかった」
元親は小さく笑った。政宗も隣で頷いた。
愛しいひとの肩に、自分の頭を乗せて、政宗は目を閉じた。
「Hey、元親」
「うん」
「お前がいて、心から良かったと思ってる」
政宗の言葉を、元親は目を閉じて聞いていた。
柔らかく低い声が、心の臓に染み入る。何よりも深く、己の心に在る。
その温かさは、真に心地が良かった。
「俺も同じだ」
そう答えると、「Ha」と大層照れくさそうな声がして、元親は笑った。
+
後書き
たまには良いかなと思って。反省はしていない。
あとなんかこの後に政宗か元親が戦場で亡くなってしまうとかそういうこと考えてたんですがね、
何かそうすると雰囲気ぶち壊しプギャーになってしまいかねなかったので、
取り合えずこういうところで終わり。
あとそれから海/馬可愛いよ海/馬
フ/ァ/ラ/セ/トとか闇/海とか大好きだよマジ可愛い