二次創作ブログですゆえ苦手な方は御控くださいませ。
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落ちも何も無い話
お題「め」
+
放課後の教室で、佐助と元親は課題を片付けていた。
本日期限の課題だったのだが、二人とも何故か非常に予定が入ってしまい、一切手をつけられず。
(いや、普段から然程まじめに提出物を出しているわけでもないのだが、今回のものはなにやら評価に関わる課題だったらしいので、提出が絶対となっていた)
地理担当の北条先生が、老体をわなわなと震わせて「今日の夕刻までに片付けよ!」と怒鳴り、二人は慌てて教科書を開いているというわけである。
「メルカトル図法だとグリーンランドは広いねえ」
「あーメルトカ…何?」
「メルカトル図法。ならったでしょ、二年かなんかの始めに」
俺地理でセンター受けねーし、と元親は口を尖らせた。
片手でシャープペンを弄びつつ、詰まらなさそうに地理の参考書を捲り、時折うなりながら元親はプリントを埋めていく。
よく言えば逞しい字、悪く言えば粗雑な字で、空欄を潰していく。
たまにちらっと佐助のプリントの進行状況を確認し、元親はその度に溜息をついた。
「お前、作業早い」
「モッ君が遅いんだと思われまーす」
「うっせー、だって俺、政経とか世界史の方が好きだし」
わかったわかった、と拗ねる元親を宥めながら、佐助もパラパラと図説を捲りながら、気軽に空欄を埋める。
地理だけで言えば、佐助の成績の方が若干良かった。
他の科目はほぼ互角なのだが、元親は何しろ地図を読むのが苦手すぎた。
酷いときには、北と南の区別がつかないことさえある。
遠出をしたときにも、集合場所まで戻ってこれなくなり、涙声で電話が掛かってきたこともある。
まあそこが可愛いんだけど、と佐助は元親の不機嫌そうな横顔を見つめながら小さく笑った。
「ああ、わかんね、ダメだ、こりゃあダメだ」
元親はシャープペンを投げ出し、下半分が空白のプリントを放り投げた。
ヒラヒラとプリントは宙を舞い、隣で作業していた佐助の元へと落ちてきた。
「ダメでしょ、投げたら」
「だってもうイヤだ、俺地理嫌いだ」
「ダダこねるなってぇ」
あーもういや、本当いやだ、帰りてー。
元親は机に突っ伏して一頻りそう喚いた後、むすっとした表情で顔を上げて、佐助を見た。
その表情が余りにも腑抜けていて、佐助は一瞬目を見開いてから、噴出した。
もう、本当にしょうがないな、この子は。
「はいはい、わかったわかった、あとちょっと頑張ってよ、モッ君。
終わったら帰りにアイス奢ってあげるから」
「……マジ?」
「まじまじ。30円のだけど」
「…………頑張ろうかな」
言うなり、元親はだらけきった背筋をしゃんと伸ばし、凄まじい勢いで参考書を繰り始めた。
単純なんだから、と佐助は笑った。
お題「め」
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放課後の教室で、佐助と元親は課題を片付けていた。
本日期限の課題だったのだが、二人とも何故か非常に予定が入ってしまい、一切手をつけられず。
(いや、普段から然程まじめに提出物を出しているわけでもないのだが、今回のものはなにやら評価に関わる課題だったらしいので、提出が絶対となっていた)
地理担当の北条先生が、老体をわなわなと震わせて「今日の夕刻までに片付けよ!」と怒鳴り、二人は慌てて教科書を開いているというわけである。
「メルカトル図法だとグリーンランドは広いねえ」
「あーメルトカ…何?」
「メルカトル図法。ならったでしょ、二年かなんかの始めに」
俺地理でセンター受けねーし、と元親は口を尖らせた。
片手でシャープペンを弄びつつ、詰まらなさそうに地理の参考書を捲り、時折うなりながら元親はプリントを埋めていく。
よく言えば逞しい字、悪く言えば粗雑な字で、空欄を潰していく。
たまにちらっと佐助のプリントの進行状況を確認し、元親はその度に溜息をついた。
「お前、作業早い」
「モッ君が遅いんだと思われまーす」
「うっせー、だって俺、政経とか世界史の方が好きだし」
わかったわかった、と拗ねる元親を宥めながら、佐助もパラパラと図説を捲りながら、気軽に空欄を埋める。
地理だけで言えば、佐助の成績の方が若干良かった。
他の科目はほぼ互角なのだが、元親は何しろ地図を読むのが苦手すぎた。
酷いときには、北と南の区別がつかないことさえある。
遠出をしたときにも、集合場所まで戻ってこれなくなり、涙声で電話が掛かってきたこともある。
まあそこが可愛いんだけど、と佐助は元親の不機嫌そうな横顔を見つめながら小さく笑った。
「ああ、わかんね、ダメだ、こりゃあダメだ」
元親はシャープペンを投げ出し、下半分が空白のプリントを放り投げた。
ヒラヒラとプリントは宙を舞い、隣で作業していた佐助の元へと落ちてきた。
「ダメでしょ、投げたら」
「だってもうイヤだ、俺地理嫌いだ」
「ダダこねるなってぇ」
あーもういや、本当いやだ、帰りてー。
元親は机に突っ伏して一頻りそう喚いた後、むすっとした表情で顔を上げて、佐助を見た。
その表情が余りにも腑抜けていて、佐助は一瞬目を見開いてから、噴出した。
もう、本当にしょうがないな、この子は。
「はいはい、わかったわかった、あとちょっと頑張ってよ、モッ君。
終わったら帰りにアイス奢ってあげるから」
「……マジ?」
「まじまじ。30円のだけど」
「…………頑張ろうかな」
言うなり、元親はだらけきった背筋をしゃんと伸ばし、凄まじい勢いで参考書を繰り始めた。
単純なんだから、と佐助は笑った。
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